福岡地方裁判所 昭和41年(レ)83号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕以上認定の諸事実によると、現在の三三七番五、三三七番の一二、一三、一九ならびに同所同番の一、四、六ないし一一、一四ないし一八の各土地を合わせた一画の土地のもと(もとは、右のように十数筆ではなくして、数筆の土地からなつていた。)所有者であつた訴外井手一見によつて宅地に造成され、かつ分譲売却された土地の一部であつて、しかも、公路から隔絶した右分譲宅地の一部である三三七番五の土地の所有権を順次に承継取得した訴外鬼塚ヨシ子、同高尾秀二および被控訴人は、その所有であつた(同訴外人ら)、もしくは所有である(被控訴人)三三七番五の土地の便益に供するため、右井手一見が、分譲売却の暁には公路から隔絶されることになる分譲宅地部分の便益のためあらかじめ通路として開設し、かつ分筆した土地の一部であつて、その後前記分譲宅地の買受居住者らによつて継続的に通行の用に供されてきた控訴人所有(昭和三四年一〇月一七日控訴人買受け、同年一一月五日その所有権移転登記経由)の三三七番の一三の土地の全部(控訴人も、同土地買受後、同土地全部が通路として使用されることに異議はない旨を記載した誓約書を所轄農業委員会に提出し、かつ、同土地を道路に転用するための農地法第五条の規定にもとづく許可申請手続をなし、しかも、同土地につき、雑種地への地目変更登記をなしている。)を、あいついで、自己のためにする意思をもつて、平穏かつ公然に、通行の用に供してきたものであり、しかも、これは、その当初において、善意にして、かつ無過失であり、その後において、継続かつ表現のものであつたものと認めるのを相当とするところ、被控訴人は、前々主鬼塚ヨシ子および前主高尾秀二から、三三七番五の土地の便益に供するため、それぞれみずからのためにする意思をもつて、平穏かつ公然に、しかも、当初においては、善意、無過失に、その後においては継続、表現のものとして、三三七番の一三の土地の全部を通行の用に供してきた(準占有)ことによる効果を承継し、これらを自己のそれにあわせて主張し得るものと解するのが相当であるから、被控訴人は、おそくとも前々主鬼塚ヨシ子の右準占有開始後である昭和二六年一二月一日(ちなみに、右鬼塚ヨシ子が同年一〇月一日に三三七番五の土地を買い受け、同年一一月に同地上に家屋を建築したことは、さきに認定したとおりである。)から一〇年を経過したときにおいて、すなわち昭和三六年一二月一日において、取得時効の完成により、三三七番の一三の土地につき、同土地を承役地とし、三三七番五の土地を要役地とする通行を目的とする地役権を取得するにいたつたものといわなければならない。(桑原宗朝 渡辺惺 大月妙子)